川崎市麻生区の地域情報紙「メディ・あさお」です
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メディ・あさお213号(2019年8月25日発行)

【あさおヒューマン】うつ病支援の会あさお代表・田中元介さん

「心の風邪」と呼ばれるうつ病。「それは、誰もがかかり得る病気という意味なんです。けれど、風邪なんか話にならないくらいつらいんですよ」と話すのは、ASAO健康井戸端会議(関連記事参照)にも参加しているうつ病支援の会あさおの代表、田中元介さん。田中さんは、自らがうつ病になり、そして完治したという経験を踏まえながら、うつ病当事者やその家族などを支える活動をしています。
1947年、兵庫県出身。大学を経て石油メーカーに就職した田中さんは人事業務の一環として、ストレスからうつ病などになった従業員の回復、職場復帰などを助けてきました。心の病に関する専門講座をいくつも受講し、対処のノウハウも身に付いたことで、当時は「うつ病ってチョロいな」とすら思っていたといいます。
しかし本社勤務になった田中さんが百合丘に新居を構えた次の年、1993年、46歳の時。上司との人間関係のストレスから、自分がうつ病になってしまったのです。
「自分がなってみると、勉強してきたことが全然できないんです。元気な時なら『こうすればいい』と簡単にできたことができなかった」
休職、入退院、復職を繰り返し、51歳の時には解離性大動脈瘤を併発しますが、それでも「うつ病の方が比較にならないくらい苦しかった」のだとか。抗うつ薬を中断したところ「死ぬしかない」と思い詰めて自殺の準備もしましたが、病院の先生に止められて、田中さんは以前学んだことを思い出します。
「うつ病は『死ぬしかない』と思ってしまう病気なのだ」、と。
「大動脈が裂けてもいいから」とお願いして抗うつ薬をもらい、やっと少し楽になった田中さんは、「この知識がなければ自分は自殺していた。病気がよくなったら、この知識を伝える活動をしよう」と思うようになりました。
2005年には会社を退職。会社のストレスから解放されたのに加え、同じころに柴犬「ユータン」を飼い始めました。写真で田中さんが持つパンフレットに写っているのがユータン。その存在に、田中さんはずいぶん救われたといいます。
「かわいらしくて癒されるとか、そんなんじゃないですよ。もう油断も隙もない悪ガキなんです」。それでも、ユータンの相手をしているときはかかり切りになり、その分上司との人間関係のストレスや怒りなどを忘れることができたのです。
そして2008年、うつの症状が出なくなった(寛解)ことを機に、田中さんはうつ病支援の会あさおを設立。4年後にはうつ病も完治し、昨年、会は設立10周年を迎えました。
「私が完治したことを、希望だと思ってくれるうつ病の人もいるんです」と話す田中さん。「私なんか、別に大したことをしている訳ではないんですが」と謙遜しつつも、「この記事も誰かに勇気を与えられるなら」と、本紙の取材に応じてくれたのでした。

(2019年8月25日号掲載)

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