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「くらしの窓」連載【日本民家園を行く】

【日本民家園を行く】第7回・旧江向家住宅

今回紹介する旧江向家住宅は、現在の富山県南砺市の細島から移築された合掌造の民家だ。幅8・5メートル、奥行19・6メートル、面積約155平方メートル。国の重要文化財に指定されている。
合掌造といえばかつてドイツの世界的建築家ブルーノ・タウトが絶賛し、今では岐阜県白川郷と富山県五箇山の菅沼集落、相倉集落がユネスコの世界遺産に登録された、日本を代表する民家建築として知られている。同じ合掌造といっても白川郷系と五箇山系では様式が違い、また同じ五箇山でも庄川本流系と利賀系といったように違いがあるのだという。そのため、日本民家園には五箇山、白川郷の合掌造住宅が4軒もあり、地域による様式の違いを知ることが出来る。
それにしても圧倒的な迫力の巨大な屋根である。これまで見てきた古民家では考えられない3階建てになっているのも、この屋根があればこそだ。しかし、合掌造は富の象徴ではない。発展したのには、やはりそれなりの理由があった。「一番大きな理由は、養蚕のためだったと思われます。ヨウサン、つまりカイコを飼うんです」と、同園職員の安田徹也さんが解説してくれた。
白川郷や五箇山のあたりは、山また山に囲まれ、冬には何メートルもの積雪がある豪雪地帯である。集落はそんな中に狭い土地を切り開いて作られたため、農地が少ない。そこで養蚕が産業として発達した。そして外に出なくても作業できる場を確保するために2階3階が必要とされるようになり、屋根が大きくなっていったという。
急勾配の屋根だから、屋根に積もった雪を落とす効果もあったのでは?「それもあるかもしれませんが、合掌造だって、雪下ろしをしないと重みで家がつぶれてしまう事もあるんですよ。屋根の勾配がきつくなった分、かえって雪下ろしは危険になります。それに、合掌造の建物が建てられるようになる前からこの辺りには人が住んでいました。合掌造が発展してきたころに同時に養蚕も発達していることを考えると、まず第一の理由は養蚕だったと考えたほうがいいでしょう」。
もちろん、豪雪地帯ゆえの特徴も随所に見られる。例えば土壁は雪に弱いので、外壁は板壁になることが多い。分厚い藁葺き屋根は、防寒の役目も果たしていたという。またザシキにあがると、囲炉裏の上に棚が吊ってある。これは火天(ひあま)とか火棚といい、上に物を置いて乾燥台にするほか、火の粉が飛び散らないようにする意味があったのだそうだ。「寒い地方だから火を強く炊くので、火の粉には特に気をつけなければいけなかったのです」(安田さん)。

(「くらしの窓」2007年1月1日号掲載)

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