川崎市麻生区の地域情報紙「メディ・あさお」です
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メディ・あさお218号(2020年1月25日発行)

【あさおヒューマン】「畑から、台所へ。」代表・井上広基さん

新百合ケ丘駅前で行われる「しんゆりフィスティバル・マルシェ」で直売を行い、話題になっている若手農家の団体「畑から、台所へ。」の代表を務めているのが、古沢生まれ古沢育ちの井上広基さんです。
1983年生まれ。代々の農家の出身ながら、溶接工、彫金師、木工屋など職人系の仕事を多く経験し、当初は実家を継ぐつもりはなかったという井上さん。ところが縁は異なもので、奥様の実家がたまたま酪農家だったこと、また奥様が柿生野菜生産者直売会でパートを始めたことなどで、しだいに「じゃあ、自分も農業をやるか」という気になっていったのだとか。
こうして、井上さんは2007年から、農業の道に進んでいきました。「小さいころから家の手伝いもしていましたし、農業にはすっと入っていけました」という一方、「当初は珍しい野菜を手当り次第に作って、お客さんにはなじみがないからなかなか売れなかったり、『これはおいしくないな』と思ってやめたり」という試行錯誤も経験しました。
注目を集めるきっかけになったのは、かつて麻生区の名産品であった万福寺ニンジンの栽培です。「家では普通に食卓にあがっていましたから、特別珍しいという意識はなかった」という井上さんですが、これがきっかけで区内外の地域情報紙などでしばしば紹介されるように。それに伴って、麻生区の市民団体などから、様々なイベントなどに声がかかるようになっていきました。
そんな中、マルシェが始まったことを機に、井上さんは柿生野菜生産者直売会の20代、30代の若手メンバーとともに、昨年の6月に5人で「畑から、台所へ。」という団体を立ち上げます。
「畑から、台所へ。」という名前は、もともと柿生野菜生産者直売会が50年近く使い続けてきたキャッチフレーズを借用したもの。「ちょうど直売会内部でも『若手メンバーで何か始めてみたら』といわれていたころで、始めるにはタイミングがよかった」(井上さん)。新団体は、直売会の新しい試みでもあるのです。
「野菜の魅力をどう伝えるか、いつも考えている」という井上さん。「いいものをよく見せる」こともそのひとつで、マルシェでは人工芝のマットを敷き、服装は白シャツにデニム地のエプロンでそろえ、箱や並べ方、配色にも気を配っています。「買うときの『食べてみたい』というワクワク感って、味にもつながっていくと思うんです」。
今後は「畑から、台所へ。」をブランドにしていきたい、と目標を立てている井上さんですが、「といって、畑作業をおろそかにするわけにはいきませんから」、当面はマルシェへの出店を続けていく方針とのこと。 次回の「畑から、台所へ。」のマルシェ参加は2月16日に新百合丘オーパで行われるMUJIマルシェ。3月のしんゆりフェスティバル・マルシェは22日に出店します。

(2020年1月25日号掲載)

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