メディ・あさお214号(2019年9月25日発行)
【あさおライブラリ28】郷土への思い今も受け継ぐ 柿生音頭
「柿生中PTAが中心となって、地域住民が作詞、作曲、踊りを全て〝自前〟で製作した『柿生音頭』が完成、この程テイチクからレコード化された」
〈「くらしの窓」260号/1974(昭和49)年8月18日発行〉より
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作詞の志村昇さんは柿生中学校の元先生、作曲の遠藤義一さんと振付の小木曽明美さんは同中の現職(当時)の先生。さらに柿生小学校の元PTA会長でテイチクの元プロデューサー・碓井勝次さんの尽力により、演歌歌手・泉ちどりさんの歌でレコード化された「柿生音頭」。現在も禅寺丸柿まつり(2面記事参照)や麻生川桜まつりで踊りが披露されています。「地元でずっと踊り継がれているなんて、本当にうれしいですね。踊りを見に、飛んでいきたいくらいですよ」と、今も現役で活躍する泉さん。
「ハアー 弘法松はソーレサッサ 天下のながめ…」で始まる歌詞は8番まであり、黒川炭、麻生不動、万福寺人参、蚕影山といった柿生の地ゆかりの産物や風習などが多数織り込まれています。
志村さんはレコードのリーフレットに「『兎追いし彼の山』もいつか削り取られ、『小鮒釣りしかの川』も汚れ果てた。この先どうなるのだろう。(中略)人々は老いゆく。新しくきた人達よ、伸びゆく若人、そして若き父母とその幼児たちよ! さあみんなでふるさとを守ろう」と綴っています。また同じく志村さんが当時の「上麻生町会だより」に寄せた文章では、「郷土民謡の必要性と具体化は私の多年の願望」「この謡は、日本の多くの民謡がそうであるように、七七七五調である。だからどなたでも地元の素材を求めて、自由にいくらでも作って戴きたい。其の中から素晴らしいものが生まれ出るだろう」と記しています。
その思いを受け継ぐかのように、柿生では1990年に「禅寺丸音頭」、2015年に「かきくけかきお」というイメージソングが誕生しています。
柿生音頭
夢羅多摩雄・作詩
遠藤義一・作曲
大森盛太郎・編曲
一、
ハアー
弘法松はソーレサッサ
天下のながめソレ
九十九谷と 多摩の丘ソレ
津久井往還(おうかん) 相模と江戸を
ソーレサッサ
結ぶ縁(えにし)の 絹の道ヨイヨイ
(以下囃子略)
二、
ハアー
お江戸池上 お会式(えしき)太鼓
粋な男にゃ 禅寺丸
等海(とうかい)様と将軍様で
柿が生まれた わしが村
三、
ハアー
男気質(かたぎ)の(堅木)黒川炭(ずみ)を
燃えるあの娘(こ)の 胸が焼く
七度(ななたび)転んで 八起(やおき)の縁起(えんぎ)
麻生不動の だるま市
四、
ハアー
吾妻(あづま)いとしむ みことに媛(ひめ)も
慕い舞うのか 白い鳥
粉屋おどりで 村中総出
お軽勘平(かるかんぺい) 朝がえり
五、
ハアー
色もひときわ すらりとのびた
万福にんじん きりようよし
三国一の 花婿どのも
こよいしばしの おかん番
六、
ハアー
小沢城戦(おざわじょうせん) 名音(なおと)にひびく
矢先陣川(やざきじんかわ) 古戦場
むかし五人力 ひらいた田んぼ
今じゃ花咲く 五月台(さつきだい)
七、
ハアー
お不動様へ 今年もおいで
はなしもあるし ごりやくも
おいら男だ 火玉もなんの
握る度胸の 鉄火松(てっかまつ)
八、
ハアー
岡を上れば 蚕影(こかげ)の森で
夢に見た娘が 眉(まゆ)つくる
柿のふるさと 柿生へおいで
柿生音頭の 輪がおどる
【「くらしの窓」とは】
新聞販売店・赤本新聞舗(現・あかもと本舗)創業者の赤本良造が、1955年に購読者サービスの新聞折込として創刊。高度経済成長期の地域の変貌ぶりなど、全国版の新聞では紹介しきれない情報を読者に伝え、地域情報紙のさきがけとなりました。
その後、関連会社のくらしの窓新聞社(現・メディスタくらしの窓新聞社)に引き継がれ、2011年まで56年間、1397号を発行。本紙「メディ・あさお」は「くらしの窓 麻生区版」として2001年10月に創刊されました。現在の社長・赤本昌応は3代目にあたります。
(2019年9月25日号掲載)
「メディ・あさお」とは
川崎市麻生区で月1回発行している地域情報紙です。
タブロイド版全8ページ、発行部数は約7万部。
麻生区内(岡上をのぞく)の各家庭に手配りでお届けています。
お問い合わせ先
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