メディ・あさお212号(2019年7月25日発行)
【あさおヒューマン】白山愛児園園長・霜倉博文さん
親元を離れた子どもが暮らす、児童養護施設。近ごろは「虐待からの保護」という観点がクローズアップされがちですが、実際に親元を離れる理由は様々であり、決して単純化できるものではありません。白山中学校跡地に開設し、ことし5周年を迎えた白山愛児園の園長である霜倉博文さんを訪ねました。
「来年、還暦ですよ」という霜倉さんは兵庫県出身で、東京都を経て3歳で相模原市へ。中学高校とバレーボールに打ち込む青春時代を過ごし、「体育大学に入って体育の先生になろう」と考えていました。しかし、高校3年生の時にひざを壊し、体育大は諦めることに。
代わりの進路を探すうちに出会ったのが、社会福祉の仕事でした。その時点では「知識ゼロ」だった霜倉さんですが、漠然と「子どもと関わることのできる仕事がしたい」と考えていたこともあり、専修大学で社会福祉を学びます。そして綾瀬市の児童養護施設に就職し、本格的に児童福祉の世界へ。同施設では13年勤め、奥様と職場結婚し、子ども2人にも恵まれました。
そして1993年。霜倉さんは施設を退職し、「ファミリーホーム(FH)」という当時川崎市が独自に行っていた制度を利用して、金程でホームを開設したのです。
FHは、霜倉さんのように児童施設の元職員などが里親となり、あくまで「家族の一員」として子どもを受け入れる制度で、今では国の制度になっています。
たくさんの里子と一緒に家族として生活することは、実のお子さんたちにはどう受け止められていたのでしょう?
「まあ、普通の家庭ではなかったかもしれませんね」と言いつつ、「でも、綾瀬では子どもたちも施設にきて施設の子と遊んだりしていましたから、理解はしていたと思いますよ」と霜倉さん。家族にも支えられて、市内の社会福祉法人の理事をも務めながら、このFHを15年。およそ20人の子どもを里子として受け入れてきました。
その後、白山愛児園の開設準備室長を経て、開園とともに園長に。園長としての5年間を「地域の人たちから気にかけてもらいながらの、あっという間の5年間でした」と振り返りつつ、「これからも地域の皆さんの理解を得ながら、一緒に、社会の責任として子どもを育てるということを目指していきたい」と話す、霜倉さんです。
ところで、霜倉さんにはもうひとつの顔が。体育大学を諦めたあともずっとバレーボールを続け、金程に引っ越してからは地元の小学生チームの指導を手伝うようになり、現在では同チームの監督、そして川崎市北部小学生バレーボール連盟の会長も務めているのです。きちんとしたあいさつ、何事にも準備をすること、感謝の心を子どもたちに教えていると話す霜倉さん。「卒業した子が、中学校に行ってもバレーを続けていると聞くと、やっぱりうれしいですね」と笑顔を見せていました。
(2019年7月25日号掲載)
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