メディ・あさお206号(2019年1月25日発行)
【あさおヒューマン】川崎新田ボクシングジム会長・新田渉世さん
「これまで麻生区ではほとんど活動してこなかったから、麻生区の皆さんは私たちのことを誰も知らないかもしれませんね」と話すのは、多摩区登戸にジムを構える川崎新田ボクシングジムの新田渉世さん。
川崎西法人会で青年部長を務めていたこともあり、青少年健全育成の講演活動なども行っているので、新田さん個人のことを知っている人は、それなりにいるかもしれません。しかし新田さんは今、ジムやボクサーたちのことも麻生区の人にもっと知ってほしいと考えています。
「人はなぜ生まれるのか、生きる意味とは何か」ということに悩んでいた小学6年生のとき『あしたのジョー』に出会い、「ボクシングというより、主人公・矢吹丈の生き様に惹かれた」という新田さん。高校3年のときに念願のボクシングジムに入門し、横浜国立大学に進学、大学在学中にプロデビュー、そして学生結婚。結婚と同時に新居を登戸に構えました。
一見とんとん拍子にも思える経歴で、「2、3年でチャンピオンになれると思っていた」という新田さんは、しかし、ここから苦しい時期が続きます。デビュー10年目の1996年、ついに東洋太平洋バンタム級チャンピオンのタイトルを手にしたのは29歳のとき。しかし翌年、初防衛戦で敗れ、「糸がぷつんと切れた感じ」を味わって引退。引退後は、生活に追われながらの長く苦しい模索の時期が続きました。
川崎市の中小企業融資制度を利用して「新田ボクシングジム」の開設に踏み切ったのは2003年のこと。2010年には名称を「川崎新田ボクシングジム」に改め、ボクシングを利用した一般向けのエクササイズ教室を開講しているほか、プロではこれまで男女あわせて4人の日本および東洋太平洋チャンピオンを輩出しています。
ジムの改称の背景には、新田さん自身の「チャンピオンになったのに、町の人は誰も知らない。ジムの周りを歩いても声もかけられなかった」という苦い経験がありました。「あれはがっかりしましたね」という新田さんにとって、地域密着活動によって地域に貢献し、そうすることによって選手たちの顔と名前を覚えてもらって、地域から応援されるようなジムにしたい、という思いは格別なものがあります。ボクサーたちが防犯パトロールを兼ねてロードワークをしたり、警察の防犯ポスターにモデルとして登場したり、イベントでミット打ち体験を行ったり……。
川崎新田ジムは、昨年12月には古橋岳也選手が東洋太平洋スーパーバンタム級シルバー王者となり、ことし春には黒田雅之選手が世界フライ級王座に挑む国際戦を控えるなど、世界への飛躍を視野に入れつつあります。そして「これからは麻生区での活動も増やして、皆さんに応援してもらえるようになりたい」と語る新田さん。世界へ、麻生区へ、2019年の川崎新田ジムに注目です。
(2019年1月25日号掲載)
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タブロイド版全8ページ、発行部数は約7万部。
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