メディ・あさお191号(2017年10月25日発行)
【あさおヒューマン】KAWASAKIしんゆり映画祭代表・中山周治さん
10月29日にスタートする23回目のKAWASAKIしんゆり映画祭。その代表を務める中山さんを、ご自宅に訪ねました。
片平の里山に囲まれた古くから続く農家。さまざまな地域活動で有名な父親をもつ跡取り息子。羨ましいような環境ですが、同時に重いものを背負っているような……。
「子どものころは、農家コンプレックスがありましたよ。町の人が羨ましいと思っていました」という中山さん。
畑仕事をする両親の背中をリンゴ箱の中から見ていたという幼少期。小学生のころは、高度成長期でサラリーマン家庭や商家が輝いて見え「旧態依然の農家は、ダサい」と思っていたのだとか。
そんな中山少年の楽しみは、友達と野山で「今思うと原始的な遊び」をすることと、1人になった夜、読む本でした。「本にはお金をかけていました。読んでいる間は、インナートリップができましたから」。
そうして自分で考える癖がついたからか、持って生まれた性格か、興味を持ったことにとことんのめり込むようになっていった中山さん。自力で受験勉強をして進学した先は、早稲田大学の哲学科。大学で出会った演劇に「カルチャーショックを受け」、学生劇団の舞台にも立ったのです。
卒業を控え、職業として選んだのは、高校教師。「学べば学ぶほど深まる勉強の楽しさを教えたい」ことと「異動は神奈川県内なので、家業を手伝える」ことが選択の理由でした。
大学も就職も「すんなり」決まったことで、急に「回り道をしたくなった」のが29歳のとき。いったん退職し、ニュージーランドの大学で日本語を教えるなど海外で3年間を過ごしました。
「土地に縛られている」意識が避けられず、「年中反抗期だった」仕上げのようなものだったのでしょうか。
帰国後復職し、現在も高校で英語教諭の仕事を続けている中山さん。「正解がないことを深く考えること」が学校教育に必要という理念のもと、自身もさまざまなワークショップで学び続けつつ、演劇や映画を総合的な学習に取り入れる活動を続けてこられました。映画や演劇をチームで作る学習を通じて、生徒たちは人間関係を作っていく。そして、先生以外の人に作品を見てもらい評価される経験が、大きな学びになるという中山さん。そんな総合学習活動の縁で日本映画大学で映画教育を教えることになり、映画祭に誘われることにもなったのでした。
父とは違う、文化事業の面からの地域貢献というのも、中山さんのスタンスにぴったりです。
「皆さんに気持ちよくボランティアをしてもらえるよう影で支える役はやりがいがあります」とのこと。「多摩線アート化」「段ボールシアター」など「野望」もたくさんあるという中山さんの今後の活動が楽しみです。
(2017年10月25日号掲載)
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