メディ・あさお174号(2016年5月25日発行)
【あさおヒューマン】「Kanoco BEER & MARCHE」代表・飛永かの子さん
この4月、百合丘の住宅地にオープンした、クラフトビールや日本ワインなどのお店「Kanoco BEER & MARCHE」。オリジナルビール「リリィスタウト」を考案・販売していると聞いて、代表の飛永かの子さんを訪ねました。
ワインやチーズの難しい資格を持ち、豊富な知識からとっつきやすい内容を優しく語りかけてくださる飛永さん。百合丘に5年前に引っ越してこられるまでは、都内でSEなどとしてバリバリ働いていたとのこと。主婦になり、こうしてお店を出すようになるまでには、実はとても辛いことがあったのだと打ち明けてくれました。
それは5年間の不妊治療。治療中は病院通いに忙殺され、突然の予定変更も起きるため「誰とも約束できず孤独だった」という飛永さん。ワインやチーズのセミナーに通い続け資格を取得したのも、習い事なら突然行けなくなっても振り替えればいいという動機から。やがて「人づきあいがわからなくなった」ほど人間関係は疎遠になってしまったのだとか。
気持ちもお金も時間もすべてをかけて取り組んだ結果、3年前に断念。しばらくは何もする気がおきず、家にこもっているだけで家事もできない「ダメ主婦」だったそうです。
このままではいけないと、明治大学のスマートキャリアプログラムに参加。社会復帰の道を探ります。仕事を再開しようにも、空白の5年間を説明するのも難しく感じていた昨年の夏、何気なく見ていた、あるテレビ番組が動き出すきっかけを作ってくれました。
雑穀や雑草を副材料に作られるビールが紹介されるのを見て「ビールって自由なんだ。自分でも作れるかも」と目の前が開けた気がしたのでした。母方の祖父が鹿児島で有名な焼酎メーカーなど事業を展開している関係で、酒類には縁があった飛永さん。ワインが好きで15年前、当時暮らしていた熊本でワインセミナーに通い始めたという彼女は「ワイングラスで飲むビール」を作ろうと思い立ったのです。
「ビールってのど越しが大事で、水の代わりに飲む感覚ですよね。でも、香りやコクを楽しむビールがあってもいい。ビールは多様性があると思うんです」。スパイスのバランスを考え試作品を作り始めたのが昨年10月。免許がおりた3月、ついにリリィスタウトが完成したのでした。
自宅近くに開いたお店は「人が集まれるように」と「マルシェ」と命名。チーズやワインのセミナーはもちろん、彼女が作っている野菜を置くなどこれからの広がりが期待されます。6月か7月にできる、新しいリリィビールの味も楽しみです。ビールやワインをきっかけに日々が彩られ、人との縁を楽しみたくなる。優しくて前向きな気持ちになれるお店にぜひ一度。
◎Kanoco BEER & MARCHE
百合丘3-24-36-101/電話044-712-3088
(2016年5月25日発行)
「メディ・あさお」とは
川崎市麻生区で月1回発行している地域情報紙です。
タブロイド版全8ページ、発行部数は約7万部。
麻生区内全域(岡上をのぞく)の各家庭に手配りでお届けています。
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