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「くらしの窓」連載【日本民家園を行く】

【日本民家園を行く】第6回・旧佐々木家住宅

日本民家園のある生田緑地は、枡形山一帯に広がっている。同園の敷地も枡形山の中腹にあり、前回紹介の旧三沢家住宅を過ぎると坂道、山道も少しずつ多くなってくる。坂をのぼり長野県長野市から移築された水車小屋を過ぎて歩いていくと、今回紹介する国の重要文化財、旧佐々木家住宅が見えてきた。同園職員の安田徹也さんに案内してもらった。
長野県南佐久郡佐久穂町から移築された旧佐々木家は、農村の名主の屋敷だ。それだけに屋敷の規模は大きく、また間口24・1メートル、奥行7・3メートルとかなり細長い。建物面積は間口と奥行を単純にかけると約176平方メートルだが、風呂や厠など張り出した部分などを含めると約210平方メートルになる。普請帳が残っているので建築、増築の年がはっきり確認できることも特徴のひとつで、建てられたのは享保16年(1731)年。これは徳川八代将軍吉宗の治世のころだ。
名主の家ともなれば、偉い人が来訪することもある。佐々木家は応接のためにわざわざ座敷や風呂、厠などを増築しているくらいだから、相当重要な地位にあったことがうかがえる。普通、風呂や厠はこんな風に座敷の近くには作らないものだが、「それが座敷のすぐ側にあるということは、これらが来客専用のものだったということです。佐々木家の人間は使ったことがないんじゃないでしょうか」と安田さん。
それでは家の人間はどうしていたのか。土間の入口近くに穴を掘って板を渡しただけの厠が復元されているが、風呂はない。そういえば、これまで見てきたほとんどの古民家には風呂も厠もなかったが、どうなっているのだろう。「そういう水周りは真っ先に改造されてしまうので、もとの形に復元するのがとても難しいんです」(安田さん)。例えば厠などは家の外に作られることが多いが、改造されて取り壊されたりすると、どの辺りにあったのか分からなくなってしまう。そのため、同園ではこうした復元をあまりしていないのだそうだ。同じように土間もひんぱんに改造され、時代が下るにつれてどんどん狭くなっていくのが普通だが、こちらは家を建てる際に土を打ち固めるので「最初はここまで土間だった」というのが比較的簡単に復元できるという。<
佐々木家に話を戻すと、この建物の特徴の一つは屋根が非常に高いことだ。しかしその割に座敷部分の障子の鴨居は5尺8寸(約175センチ)と、平凡な高さ。「これは障子が規格化されていたからです」(安田さん)。そのためいかに豊かでも大きな障子を作って富を示すということは出来なかったという。その分、鴨居などに大きな木材を使うなどして威を誇ったようだ。

(「くらしの窓」2006年11月12日号掲載)

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