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「くらしの窓」連載【日本民家園を行く】

【日本民家園を行く】第4回・旧佐地家門・塀・供待

徳川御三家の一つ、尾張徳川家のおひざ元だった名古屋。今回紹介する旧佐地家門・塀・供待は、名古屋城の南東、武家屋敷街にあった武家屋敷の門で、門とそれに続く塀、供待と呼ばれる建物が一体になっている。主屋の方は移築できず門だけが移築されているが、隣接する旧三沢家が母屋に見立てられて建っているため、武家屋敷の雰囲気を味わう事が出来る。
もともとこの屋敷は尾張藩が担当の奉行を置いて普請し、家臣に支給した官舎のような建物で、石川家という250石の武士が住んでいた。しかし明治維新後、石川家は消息不明。その後所有者が転々とし、昭和初期になって佐地家の所有となったため旧佐地家門という。塀の延長10・5メートル、供待は間口4・6メートル、奥行き9・2メートルの42平方メートル。19世紀はじめごろの建築と推定され、川崎市重要歴史記念物に指定されている。
門はいかにも武家屋敷らしい重厚さだ。門の屋根の両端に小さな屋根が突き出しているが、これはちょうちんを吊るすためのものだという。
正面から見て門の左側には、供待が塀でつながっている。トモマチとは耳慣れない言葉だが、読んで字のごとく、お供が主人を待つための建物の事。同園主査の外山明彦さんが「今でいうならお抱え運転手の控え室というところですね」と解説してくれた。控え室ということなので広い板張りの部屋があるだけだが、建物そのものは小さな民家ほどの大きさがある。実際、移築前は住宅として使われていたという。板の間の隣に小さな畳敷きの門番部屋があり、武者窓という見張り窓が壁から突き出ている。
さて、「武士は食わねど高楊枝」という言葉があるように、武士は対面を重んずる。言葉を変えれば見栄っ張りである。武家屋敷にもそれは現れる。この佐地家門も、例外ではない。塀や供待の外側、つまり路地に面した側は漆喰の白壁で装われ、軒下は白塗りの漆喰で固められているが、門をくぐって裏側に回ると一目瞭然、壁は塗られていないし軒下も木組が見えたままなのだ。面白いのは、道路に面する面とそうでない面がはっきりと分かれ、屋根の隅の木材まで塗り分けられていることだ。1本の木材が半分だけ白塗りになっているのは、なんだかおかしい。「普通ならちょっとくらい覗き込まれてもいいように、内側も少しは白塗りや漆喰などの細工を施すものなんですが」(外山さん)。
門構えだけでも武家屋敷の特徴をよく示している旧佐地家門。名古屋という土地柄ならではの特徴というものはないが、強いて言うなら屋根瓦が三州瓦であることだろう。
供待の板の間には甲冑が置かれているが、これは雰囲気で置いているだけで特別いわれがあるものではないのだそうだ。

(「くらしの窓」2006年9月10日号掲載)

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