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「くらしの窓」連載【日本民家園を行く】

【日本民家園を行く】第18回・旧伊藤家住宅(1)

日本民家園創設のきっかけとなったことで知られる旧伊藤家住宅は、現在の麻生区金程にあった民家だ。幅16・4メートル、奥行き9・1メートル、平面積143・5平方メートル。国指定重要文化財。
金程は江戸時代後期の史料に戸数十三軒と書かれている小さな村で、旧伊藤家住宅の主で現在も健在の伊藤酉造さんによると、「戦争中疎開で少し人口が増えたが、それでも30軒くらい」しか住宅がなかったという。そのような中で、伊藤家は江戸時代には名主を務めたとも言われる大農家だった。
当時川崎市教育委員会嘱託だった古江亮仁さんが初めて多摩区登戸の旧清宮家を訪れたのは1951年。伊藤家の存在を知ったのはその数年後のことだった。細山、金程近辺を調査していた時、同行していた現地の人から「この辺で一番古い、天正年間に建てられたと言われている家」と教えられたのである。天正年間と言えば戦国時代にあたり、築およそ400年ということになる。古江さんは確かに古い家らしいとは思いながらも、その時は調査することが出来なかった。

さらに数年後、生田の出身で当時横浜国立大学の学生だった関口欣也さんは、卒業論文作成のために細山、金程地区の農家の住生活を調査していた。この地区にある92軒の農家を訪ね歩き、建物の間取りを調べたり生活状況に関するアンケートを行っていたのである(この時の卒業論文は後に加筆修正されて『多摩丘陵の農家 1955年細山 日本民家園の発端』のタイトルで同園で販売中)。そうした調査の過程で、関口さんは伊藤家を訪れた。
伊藤家は近隣では飛び抜けて古い民家で、家屋台帳を見せてもらうと築700年ということになっており、関口さんは「話半分としても築350年。これは古いぞと思った」という。実際に訪れてみると、あまり改造の手が加えられておらず、建てられた当初の姿がよく残っていた。だがそのころ、伊藤家では家の建て替えを考えていた。何しろ古い家であるから立て付けが悪く「風通しがよすぎる」のも問題だったし、住み心地も良くなかった。伊藤さんは「古い家だとは聞いていたが、価値があるとは思っていなかった」という。『多摩丘陵の農家』には「今の家は大きいだけで、一人一人安心してねることができない。(中略)家の利用価値などありはしない。一人一人の部屋、小部屋がうんとなければ駄目だ」「早く家を建て直して作業場を作って、もっとうまく百姓をやりたい」という伊藤さんの不満の声とともに、建て替えを予定していた新しい住宅の間取りまで掲載されている。関口さんが調査に訪れた時点で伊藤家の建て替えはかなり間近に迫っていたことがうかがえる。
これは放っておけない話だ。関口さんはそう考えた。

(「くらしの窓」2009年1月1日号掲載)

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