川崎市麻生区の地域情報紙「メディ・あさお」です
地元の情報をきめ細やかにお伝えします

メディ・あさお207号(2019年2月25日発行)

【あさおライブラリ22】平成の世で途絶えた 黒川の蚕影山和讃(こかげさんわさん)

 「黒川に伝わる『カイコヒマチ講』が(中略)行われた。この行事は、養蚕が盛んだったころ、初午(うま)の日にその年のマユの増産を祈って主婦たちが念仏をあげ、親ぼくを図ったもの。(中略)二十五軒中で、いまも養蚕を続けているのはわずかに一軒だけ」〈「くらしの窓」614号【1985(昭和60)年2月25日発行】より〉


カイコヒマチは「蚕日待」と書き、始まりは不明ですが、江戸末期ごろから地域の伝統行事として、農家に受け継がれてきました。会場となる家は毎年回り持ちで、座敷の正面に養蚕の神様・蚕影山大神が描かれた画軸を掲げ、御神酒や団子などをお供えし、さまざまな料理を用意します。当日は午前から20人ほどが集まり、蚕影山和讃と呼ばれる念仏を鉦や鈴を鳴らしながら唱えた後、会食し、夕方まで過ごしました。昔は貴重なレクリエーションでしたが、「女性がお酒を飲んで談笑するという風習に、お嫁に来たときはびっくりした」「世襲制で当然やるべきとは思っていたものの、当番になると障子の張り替えや食事の支度などが本当に大変だった」と話す人も。
地元に養蚕農家がなくなっても行事は続けられましたが、時代の変化とともに会場を公共施設に移し、近くの飲食店に移動して親睦会を行う、という形に。伝統を残さねばという思いから、毎年開催の「川崎市民俗芸能発表会」に「黒川蚕影山和讃保存会」として出演もしていました。しかし世代交代の影響もあり、10年ほど前に活動を止めたそうです。
蚕影山信仰はかつて区内各地でも見られました。多摩区の日本民家園にある蚕影山祠堂(しどう)は、岡上の東光院から移築されたものです。祠堂内部の宮殿の両側面にある彫刻は、日本に養蚕を伝えたとされる金色姫の苦難の物語の4場面。この物語は和讃にも詠まれています。同園では3月9〜23日に「蚕影山縁日」の年中行事展示が行われます。

【「くらしの窓」とは】
新聞販売店・赤本新聞舗(現・あかもと本舗)創業者の赤本良造が、1955年に購読者サービスの新聞折込として創刊。高度経済成長期の地域の変貌ぶりなど、全国版の新聞では紹介しきれない情報を読者に伝え、地域情報紙のさきがけとなりました。
その後、関連会社のくらしの窓新聞社(現・メディスタくらしの窓新聞社)に引き継がれ、2011年まで56年間、1397号を発行。本紙「メディ・あさお」は「くらしの窓 麻生区版」として2001年10月に創刊されました。現在の社長・赤本昌応は3代目にあたります。

(2019年2月25日号掲載)

「メディ・あさお」とは

川崎市麻生区で月1回発行している地域情報紙です。
タブロイド版全8ページ、発行部数は約7万部。
麻生区内(岡上をのぞく)の各家庭に手配りでお届けています。

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