「メディ・あさお」掲載記事

【あさおヒューマン】指揮者・堀俊輔さん

指揮者・堀俊輔、またの名をヘルベルト・フォン・ホリヤン。カラヤンのようでもあり、「堀やん」でもある堀さんは、「忘れられた懐かしいちゃんとした大阪弁」と「NHKアナウンサーもびっくりの標準語」を心地よく響く声で使いこなす、サービス精神旺盛でいくつもの顔を持った方でした。
東京藝大の指揮科の出身というと、小さい頃から音楽一筋の神童だった……というストーリーが浮かびます。ところが、ピアノを始めたのは6歳と遅く、2〜3年習ったあとは自己流で弾いていたというのです。早くに父を亡くし、早稲田大学卒業間近に、母が事業に失敗。急遽帰阪し、しゃにむに働いて、建て直しに成功。母も亡くなり、「藝大に行けばプロになれる」と定員2名の難関、指揮科に挑戦。入学を果たしたときは、すでに30歳。その後も一筋縄ではいかない紆余曲折があったのでした。
「どうせやるなら指揮者と思ったんですよ。ここだけの話、ギャラが一番高いからね」と、いたずらっぽく笑う堀さん。スペシャリストたちの前に立って率いていくのは、大変な快感でありストレスであろうことは想像に難くありません。「自信と絶望の繰り返し」の日々を支えるのは、「人の3倍勉強する」姿勢。オペラを振るための英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語の勉強と運動は基本で、毎日のルーティンとしています。また「うまいオーケストラの生き血を吸うこと」(!?)も必要不可欠なのだとか。
そんな堀さんが大切にしている活動には2本の柱があります。1つは芸術を深めること。もう1つは音楽を好きな人を増やすこと。特に子どもたちを音楽に触れさせる活動には熱心に取り組まれています。5月にアルテリッカで行うコンサートもそんな活動の一環です。堀さんがソリストまたコンサートミストレスとして信頼するヴァイオリン奏者・大谷康子さんとのコラボレーションは質の高い音楽の楽しさを教えてくれるでしょう。
「母は、いわゆる教育ママだったのでピアノ、英会話、お習字、そろばんと、いろいろ習わされました。でもそれが今全て生きていると思うから、僕は教育ママを否定しないです。ものになるかどうか分からなくても、子どもたちにチャンスを与えてあげてほしい」
「父が亡くなって教育ママどころではなくなった母の目を盗んで、道頓堀の映画館に通いつめました」。そこで出会ったのが映画音楽。「『風と共に去りぬ』でも『ゴジラ』でもオーケストラが鳴っていました」。生まれ変わったら「俳優になって、嘘の世界を追究してみたい。とりあえず今は指揮者を演じてます」という堀さん。その人柄と音楽に触れる機会を、アルテリッカでぜひ!

(2017年4月25日号掲載)



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